難病患者のサポートを前に

難病看護を始める前に知っておきたいこと

在宅療養に移るケースも多い難病患者

難病患者の看護ケアでは、難病患者の感情を受け止めて尊重しながら自立支援に取り組むことが大切だ。その理由としては、難病と診断されると心身共にショックを受けるケースが多いことが挙げられる。本人はもちろんのこと、日常的にサポートする家族も今後の生活や金銭的にも不安を感じ、負担になりやすい。
難病患者は治療や看護が長期化したり、何らかの介護が必要になったりするケースもある。その際には病棟での療養を終えて、難病と闘いながら自宅で療養することを選ぶ人もいるのが実態だ。この場合には、訪問介護訪問看護が利用される。
一口に看護師と言っても、病棟と訪問看護では仕事に対する勝手は変わるものだ。病棟看護師は難病患者を複数人受け持ち、疾病に合わせた看護ケアを行うため実践力がつく。一方、訪問看護師は自分の目で判断し、難病患者の状況に合わせて他業種と連携を取りながら看護ケアを行う。
難病患者の支援にかかわる業種は、看護師以外にも難病相談支援センターの相談員が挙げられる。相談員は保健師や看護師、社会福祉士など、一定の資格を持つ人が対応するのが基本だ。医療機関や施設、療養生活、助成金、支援制度などの幅広い相談に対応しており、本人やその家族が不安に思うことに答えてくれる。
難病相談支援センターには、実際に難病を抱える人が相談に乗ってくれる難病ピアサポーターと呼ばれるスタッフも存在するのだ。一人で抱え込んでしまわないよう、難病とわかったら難病相談支援センターに相談すると良い。

難病の概要と看護師に役立つ資格

難病とは、発病の機構が明らかになっておらず、かつ治療方法が確立していない希少な疾病で、長期療養を必要とするものと定義されている。さらに難病のうち、良質で適切な医療の確保を図る必要性が高く、患者数が国の人口の0.1%より少ない、客観的な診断基準が確立しているものを指定難病と呼ぶ。
こうした指定難病は、難病法により医療費補助の対象になる。医療費補助とは「指定難病医療給付制度・医療費助成」のことを指し、自己負担になる医療費の上限が設けられていることが少なくない。
医療費助成の対象者だと認定されると医療受給者証が交付され、取得後は1年ごとに更新が必要になる。さらに、特定医療費の認定を受けるための診断書は、都道府県や指定都市から指定された医師しか作成することができない。そのため、難病指定を受けたら焦らず、制度のことを思い出して手続きを進めると良い。
また、難病看護の向上を図るために、一般社団法人日本難病看護学会では難病看護師の認定を行っている。難病看護師はさまざまな難病看護についての知識、療養生活を支援する技術を持ち、長期間でも安心できる療養生活や安全な医療サービスを提供できる看護師のことだ。
認定を受けるための条件は厳しく、難病保健領域での実務経験などが求められる。申請書類には推薦状も必須で、信用と実績が重要と言っても過言ではない。その後、当学会の研修会に参加し、修了後の試験結果や審査を経て認定される。認定有効期間は5年のため、更新手続きが必要だ。

関連サイト>>http://nanbyou-sasaeru.com